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ウィキメディア財団年次計画/2025-2026

From Meta, a Wikimedia project coordination wiki
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歴史に残る選挙の2024年には人類史上、かつてないほど多くの人が選挙権を得たわけですが、世界は2025年を迎えて地政学や規制、政策や社会の重要な変化を経験し、ウィキメディア運動に課題と機会を示しています。

さて2026年1月にウィキペディアは創設25周年を迎えます。この世代交代の節目は、ウィキメディア財団の次期年次計画の中間点にあたります。この貴重な節目にこれまでを振り返り祝賀するだけに止まらず、改めて、この世界規模で比類なき知識の資源を守り発展させるため、将来を見据えて実践的な計画の必要性を冷静に認識する機会でもあります。私たちの使命は実際に未来の世代のため、これを「永続的に」実行せよと私たちに求めているのです。

この時期にウィキメディア財団の計画はさまざまな範囲を扱い、迅速な対応から世代をまたいだ戦略まで、ボランティアやコンテンツ、読者を増やし資金増資を目指しています。私たちには短期から中期、長期それぞれを同時に手がける能力が求められます。

2030年以降を見据えると、これら重層的な計画はウィキメディア運動の戦略的方向性を「無償の知識のエコシステムにとって不可欠なインフラ」として推進するものです。この年次計画では、急速に変化するインターネット環境にある百科事典に適するコンテンツは、中立で無償であってこそと認識しています。それはウィキメディアの原則と価値観をどう強化して守ると、そのプロジェクトと人材を保護できるか問いかけます。そして新たな貢献者や利用者が将来も繁栄を続けられるように、私たちは一体となってその人たちにどうアプローチするか、それが計画の焦点となります。

その文脈に従い、この年次計画と予算案は次年度(2025年7月-2026年6月)の目標の概観とともに、資源の投資と優先順位の内訳を示します。その方向性の策定は私たちを取り巻く世界の主要な動向とニーズと、ウィキメディア財団がどのように対応して波及効果を発揮するかに基づきます。

今、世界が私たちに求めるものとは?

これまでの数年にわたって、この問いが年次計画の策定プロセスの初めにあり、その核心にも指針にもなってきました。この問いは世界の流れとコミュニティのトレンドを調べたり分析する上で役に立ち、ウィキメディアの使命を果たそうとする私たちの活動を一年のどの時期にも形作っています。

検証済みで中立の情報をオンラインで共有しようとしても、課題と脅威は大幅に増えてきました。インターネット上の情報に対する信頼は世界中で下がっており、どんな情報が真実であるか、共通の合意はバラバラになっています。インターネットの技術プラットフォームを規制しようとする法律や政策から、ウィキペディアを含む非営利のプラットフォームに十分な余地が与えられるとは限りません。

またデジタル環境の急速な変化の中、私たちはインターネットに急増する大量の機械生成コンテンツを目撃しています。確実に人間が生成した高品質な情報は希少価値の高い商品として、技術プラットフォーム類が競ってウェブから収集しては、自社プラットフォームの新しい検索体験(AIと従来型検索の両方)を介して配信しようとしています。こうした状況において、ウィキメディアのプロジェクト群の役割は極めて重要になっているのに、第三者によるコンテンツ利用が増えるに従って、その認知度はむしろ低下し続けています。

さらに加えて、ウィキメディア・コミュニティが長い目で見て持続可能性かどうかは、新規ユーザー、つまり質の高いコンテンツを投稿してずっと活動を続ける人たちが、途切れずに入ってくるかどうかにかかっています。私たちは次世代の編集者を集めること、またもっと多くのボランティアの皆さんに(通称=拡張権限を預かるユーザーとして)プロジェクトの品質と信頼性を確保する重要な役割を託すため、いくつか方法を試す予定です。

一貫した目標、革新的な実験

このように私たちが直面する世界のトレンドがあり、この計画は一貫性と革新性を備えて対応します。以下に述べる目標は、着実に達成された以前の計画を下敷きにしています(2024年度2023年度2022年度を参照)。技術インフラと製品開発の支援は、財団の優先事項とリソースの中心のままであり、ウィキペディアとウィキメディア・プロジェクトの信頼性と安全性、アクセス性を維持して、世界中の貢献者と利用者のニーズに応えるべく進化し続けます。

私たちの最上位の目標は3つに再編成してあり(インフラ、ボランティアの支援、効率性)、技術と人材の両方を支えてプロジェクト群を推し進め、無償でオープンなインターネットの重要な一部とすることは、より簡明で効果的な方法としてウィキメディアの「社会技術的」役割を反映しました。

  • インフラの目標:前年同様に、インフラ目標に基づく作業の構成は次のとおりです。
    • ウィキ体験の改善によって消費者や読者が戻ってきたくなり、深く関わったり、自身が意味を見つけた形で貢献する意欲が出るようにすること。
    • 将来の視聴者に訴求する新しい手法を実験し、若手世代の貢献者や消費者が時間を費やすインターネットの交流スペースに百科事典コンテンツを提供するなど試してみること。
    • データ サービス に投資してテストと開発のペースを上げ、新しい技術の実験をさらに迅速に進めます。
  • ボランティア支援の目標ボランティア支援の目標は財団内の多くのチームの活動を集約し、ウィキメディアのプロジェクトに貢献するあらゆるレベルの人々と、こうした貢献の拡大に不可欠な社会システムを支え、保護することを目指します。この目標は、これまで数年にわたって一貫した目標を拡張し、安全性と知識の公平性に焦点を当てたものを含めて、以下の点を優先します。
    • ボランティアを保護するために、信頼安全のサポート策や(例えば大規模な不正行為などから)人々を保護するインフラとツールを改善します。
    • プロジェクトの完全性を支えるために法により保護し、中立の原則を強化、誤情報や偽情報に対策して、意識の向上や知識の格差を解消します。
    • 私たちの運動を強化する上で、ボランティアと提携団体と運動団体間の重要なつながりと連携を深め、グローバルおよび地域との関与を介します。
  • 効果の目標効果の目標とは、これらの目標と使命の達成に向けて、財団の財務やリスク管理、組織および運営能力を継続して強化・改善する重点対象としています。本年の主要な目標は次のとおりです。
    • 寄付者体験の実験を追加して得る学習を含めて、長期にわたる多様な収益戦略に投資すること。
    • 財団の全チームに組み込まれたリスク管理プロトコルやプロセスおよびシステムをさらに深化させます。
    • 財務、運用、人的資本のパフォーマンス管理を強化し、業務を効率化して効果的に行えるようにツールとプロセスを改善します。

分散型の意思決定とパイロット実験

これらの目標に加え、今年の年間計画には理事会が承認したパイロット実験3件から得る学びと反復も含まれます。これら実験の目的は複数の分野においてウィキメディア運動が説明と意思決定の責任を果たしながら、責任の所在を代表権のある評議会やボランティア主体組織にもっと多く委任する方法とは何か、その評価にあります。

  • 製品・技術評議委員会(PTAC=Product and Technology Advisory Council):この組織は技術貢献者と提携団体の代表者、ウィキメディア財団を結集し、より強靭で将来を見据えた技術プラットフォームを共同で定義します。2024年10月に公表された評議会に参加する人たちは2025年1月に対面で会合を開き、最初の勧告を発表しました。
  • グローバル資源配分委員会(GDRC=Global Resource Distribution Committee): この先行プロジェクトを設立するボランティア主体のグローバルな組織は、助成金やリソースの配分方法をめぐってウィキメディア運動全体にわたる戦略と方針を策定して、それぞれの地域助成金委員会を監督し、コミュニティ基金の運営に関してウィキメディア財団に勧告します。暫定GRDCの設立はウィキマニア2025開始前とし、2年間の学習実験の後に評価してから、本格的な運用が始まります。
  • 運動の各組織の支援戦略を改善:この実験は、資源配分パイロットのアプローチとさらに密接に連携させるため、既存の提携連団体から、ハブなど提案段階の団体まで運動の組織のエコシステムに焦点を当てています。(提携団体委員会提携団体の事務局長を加えた)主要な利害関係者として既存の提携団体に加え、ハブなど提案段階の団体ほかとともに取り組む事実収集段階に重点を置いていて、運動の組織が現状でどのようにまとまり、将来のニーズに備えてどうまとめるか俯瞰します。

最近では、ウィキメディア財団は理事会とも協力して、これまで以上に必要とされている時期にウィキペディアの中立的視点の原則を強化しよう、その場としてコミュニティとのワークショップを開こうと提案しました。これらの取り組みは、この年次計画の対象年度を貫いて続いていくと期待されます。

投資の優先順位

ウィキメディアの財務モデルは複数年にわたる戦略計画の中心的なテーマであり、資金調達と財務管理について優先事項を決めることと多様な収入源の拡大を図って、将来世代のためにこの使命を守り成長させる取り組みを遵守します。

現在のモデルだと、2025年から2026年にかけて収益におよそ6%の伸びが見込まれ、それにつづく2年の成長率は±5%と想定されます。過去数年と比較した伸び率は緩やかであり、その実現には主要な投資分野における優先事項と代替策に継続して注力することと、さらに持続可能性の向上も欠かせません。

これを受けて今年の予算は慎重な財務計画を遵守して、当面の目標から多世代にわたる目標まで対応しています。私たちのリソースは将来を見据えて使命を推し進め、緊急のニーズに対応できる柔軟性を備えるべきです。近年はインフラ整備が予算の大部分を占め、私たちはこの運動への直接的な資金提供の拡大を引き続き優先していきます。

昨年と同様、技術関連の業務は財団予算のほぼ半分にあたる47%を占め、ボランティアを保護しプロジェクトを守る優先事項は29% – これらを合わせると財団の年間予算の76%となります。 残りは財務とリスク管理、資金調達と運営費で24%です。

追加の運転資本準備金を維持しており、持続可能性に関する非営利団体の最善手法に加えて、計画外または予期せぬ変化が税制や法的規制、政策などの環境に発生しても対応できる柔軟性も保っています。この年間計画では準備金の1%を、ウィキペディア25周年記念事業という戦略的かつ一度限りの非定期イベントに充当する可能性があります。

最後になりましたが、直接、ボランティアと運動実体に提供する資金は来年は11%近く伸ばし、これは財団全体の成長率に沿わせてあります。これは400件超の助成金をボランティア個人や提携団体、運動のパートナー組織に支給します。この助成金はより持続可能な長期計画を支援するため、複数年計画の原則に基づいて2026-2027会計年度と2027-2028会計年度に毎年5%ずつ上積みする見込みです。また地域助成金がインフレ率に適合することを認め、助成金合計額に若干の増額を生みます。

詳細を知るには

ウィキメディア財団の年次計画についてもっと関与するには、こちらの詳細情報をご参照ください。

そのほかに、財団は隔週刊ニュースレターに、年次計画に対象した進捗状況を発信しています。また昨年の年次計画と対比させた進捗状況は6ヵ月時点のスナップショットとしてこちらをご参照下し。

リンクと情報源