ウィキメディア財団年次計画/2025-2026/目標/ボランティア支援
年間計画草案は言語間で翻訳されるプロセスにあります。 |
このページは草稿段階の2025–2026予算年度の年次計画の一部として、ただいま作成中です。 次の予算年度における優先事項を形成するため、トークページでのフィードバックを皆さんから受け付けています。 |
ボランティア支援の目標とは、財団の活動のうち以下に注力します。
- ボランティアを保護して知識の総体に安全に貢献できるようにすること
- ウィキメディアのプロジェクト群を支え世界に及ぼす影響力を伸ばして、その上、
- 運動の強化に関して、ボランティアや提携団体、運動パートナーなどを含めたつながりや資源関連、効果的な組織統治によって影響力を発揮し、持続可能性を伸ばして、回復力を得ること。
この目標が特に対応する傾向は以下のとおりです。
- 中立性 – 私たちの観察ではインターネット上で無償の知識に貢献することに関連するリスクが増大しており、それは物議を醸す主題がますます政治化してきたこと、「事実」や「中立性」といった概念をめぐる分裂が広がり、長年にわたって表現の自由に迫る脅威など、多岐にわたります。
- 拡張権限を預かる利用者 – ウィキメディアのコミュニティ主導のプロジェクト群にある成功モデルの結果として、増大する脅威に囲まれたウィキメディアのプロジェクト群維持の最前線に、特定のボランティア – 特に管理者や調停委員会(ArbCom)の面々のように「拡張権限」を預かる利用者 – が置かれています。これらの人々は、この目標の重要な焦点であり、なおかつ私たちのプロジェクトが多世代化していく鍵でもあるのです。
- 貢献者 – 貢献の体験とは帰属意識とつながりの感覚に支えられ、やりがいがあり魅力的だと保証する必要はますます高まっています。
こうした傾向により、これまで以上にボランティアや貢献者、関係者への支援活動が重要さを増してきました。ボランティアの皆さんが安心すること、つながりを感じてプロジェクトに貢献できるよう、私たちは力強く支援したいと考えています。世界中の読者の皆さんには、プロジェクトに無償で安全に簡単にアクセスできる環境を提供したいと考えます。そして多様な分野や地域やデオロギーを持つ人たちには、ぜひウィキメディアのプロジェクト群を理解し、その擁護と推進にご協力いただきたいのです。
ボランティアを守る
1.1 信頼安全:増大する脅威からボランティアの皆さんを守ること
クラウドソーシングによるウィキメディアの自己統治は、プロジェクトごとに信頼と安全性を確保する重要なメカニズムであり、ウィキメディアのプロジェクト群原則を反映した組織統治方針の策定と実施において、ボランティアこそ中心的な役割を果たしています。私たちの役割は、コミュニティ・グループのこれら活動を補佐し、人々の保護とコンテンツの完全性を維持すること、そしてウィキメディアのプロジェクト群においてより安全な環境を維持して、情報を受けとり共有し、責任を持って展開できるようにすることにあります。左記の活動の例には、以下のものが含まれます。
- (オンブズマン委員会や調停委員会、スチュワードやU4Cなど)執行委員会に研修その他のリソースを提供すること、
- ウィキメディアのプロジェクト群においてコミュニティと連携し、ユニバーサル行動規範の遵守を向上させること、
- コミュニティの安全性に関する資料を公開すること、
- デジタル安全性ヘルプラインその他、メディアの保護と市民的な社会の存在保護に注力する機関と関係を構築すること、
- 第一義の提携パートナー群と協働し、デジタル健全性チェック・プログラムを導入します。
具体な目標は以下を含みます:
- 国際的な法的懸念事項の変化に関して、拡張権限を預かる利用者同士の認識を向上させること
- ウィキメディア運動内における安全で健全なコミュニティづくりのため施策と能力開発を改善すること
- 安全なコミュニティをめぐるリスクについて意思疎通を強化すること
- emergency
やhumanrights
、ca
を介して危機を報告した利用者に対して支援を強化
- プロジェクトへの誠意ある貢献に起因する脅威に直面したボランティアの保護を強化します。
1.2 大規模な荒らし:インフラやツール、プロセスの改善により、コミュニティとシステムを大規模な荒らしから守ること
信頼性が高く偏りのない情報を共有する人々やプラットフォームは、世界各地でますます多くの脅威に直面しています。そのため、不正使用の防止と軽減機能を強化し、プロジェクトを広範囲かつ標的を絞った脅威から守り、利用者の個人情報と安全保護を強化することが欠かせません。
具体な目標は以下を含みます:
- すべてのプロジェクトに、簡単に見つけられ文脈に沿った事案通報システムを確実に導入すること
- 不正使用防止ツールの精度と有効性を向上させるため、不正使用防止ワークフローに改善と新機能を導入します。
- SRE の人的介入を必要とする大規模攻撃の数を 50% 減らすこと、すなわち
- 臨時アカウント(Temporary Accounts)をウィキメディアの全てのプロジェクトに導入し、アカウント未登録編集者の個人を特定できる情報の開示対象は登録利用者の0.1%未満にします。
- 信頼安全部門のためにAIのリスクと機会の評価を実施し公表して、潜在的な脅威と機会を特定することと、ウィキメディアのプロジェクト群に推奨される緩和策または導入戦略を提示します。
私たちのプロジェクト群を保護
2.1 法務による防衛:法的脅威からプロジェクトを守る
ウィキメディア・プロジェクトのホストであるウィキメディア財団は、特に私たちの理念とプロジェクトを守るため必要であるなら法的要請に応じ、またボランティアによる貢献を守り訴訟を起こすことがあります。グローバルな私たちの活動は、防御と法令遵守における法律の適用可能性に関連して考慮すべき要素が複数あり、これには懸案の法律、影響が及ぶかもしれない利用者と貢献者の所在地、そして私たちのグローバルな使命の一環である他の活動への訴訟の潜在的な影響が含まれます。当財団はアメリカ合衆国を拠点とする非営利団体ではありますが、その戦略は常に財団の法的拠点をはるかに超えており、使命を果たして無償の知識へのアクセスを提供するというウィキメディアの活動地域を念頭に置いています。
具体な目標は以下を含みます:
- コンテンツ削除を目指すなど悪意のある訴訟からプロジェクトを守ること
- 私たちの個人情報保護方針を将来の取り組みに備えて最新の状態に保ち、変化する法的要件を反映していて、なおかつ利用者が理解しやすいものにします。
- Protect the Wikimedia movement from bad actors who try to use the Wikimedia logos and branding to impersonate the movement, solicit fraudulent business, or otherwise confuse the public
- Expand our impact litigation program to protect the Wikimedia projects, contributors, and model in light of our changing regulatory environment
- グローバルな観衆が安全かつ簡単にプロジェクトにアクセスできるようにすること
2.2 コンプライアンス:ウィキメディアのプロジェクト群は適切なプラットフォームの枠組みに必ず準拠するよう図る
私たちのプロジェクトへのアクセスを確保するには、ウィキメディアのプロジェクトがオンライン・プラットフォームを規制する法的枠組みに準拠すること、私たちの人権方針に関する約束を守る必要があります。例を示すなら、欧州連合デジタルサービス法(EU Digital Service Act)に基づく年ごとの要件や、年2回発行するグローバル透明性レポートがあります。
具体な目標は以下を含みます:
- 人権基準との一貫性を守りながら法令遵守要件の変化に対応し、(適用法、管轄権リスク、コミュニティの安全、人権に関する考慮事項など)関連する要因の範囲に従ってオンライン・プラットフォームに適用される規制法を遵守すること
- ボランティアや提携団体の皆さんと協力し、ウィキメディアのプロジェクト群に関連するグローバルな人権リスクの特定と軽減にあたる活動に取り組み、これらのリスクを制限するためウィキメディアの原則に準拠して必要な変更を実施すること
2.3 Knowledge integrity: We will support volunteers to strengthen knowledge integrity on our projects
どのような情報が真実で信頼できるかという一般社会の合意はまとまらなくなっており、中立的で検証可能な情報をめぐる争いにつながっています。そのため、私たちのプロジェクトにおいてボランティアの皆さんを支え、情報の完全性を向上することが優先事項となっています。例としては、研修や情報源を提供し、コミュニティのイベントや対話の場で、この活動に携わるボランティアの皆さんともっと緊密な関係を築くこと、偽情報対策リポジトリとして、ウィキメディアのプロジェクト群をどう運営するかウィキメディア運動全域から情報源を集めたものの更新、そして信頼できる情報源や検証可能性といった重要な原則を強化する取り組みなどが挙げられます。
具体な目標は以下を含みます:
- Improving Wikipedia communities’ ability to counter disinformation on our projects
- Improving the Wikimedia Foundation’s ability to identify and counter threats to information integrity, including disinformation targeting Wikipedia and the Foundation, by improving understanding of the Wikimedia projects
- ウィキペディアが報道機関や政策立案者、政策関係者や産業界に広く理解され、AIにとっては重要な検証済みの情報源として、そしてデジタル公共財として評価されるようにすること
- Improving support for integrity and enforcement committees, with a focus on users with extended rights
- 中立的な視点の方針(NPOV)に関連してウィキペディアを支援し、一貫性があり効果的でグローバルな標準を確立します。
2.4 Addressing Knowledge Gaps: We will support communities to address knowledge gaps on our projects
300超の言語で信頼できる百科事典コンテンツを構築することは、大規模な取り組みです。私たちの役割は、洞察力とツール、調査と組織力によってコミュニティを支援し、ボランティアの時間とエネルギーを最大限に活用することにあります。
具体な目標は以下を含みます:
- ウィキペディアの言語プロジェクトのコミュニティを補佐し、主題の注目度や関連性、予想される読者数や記事間のリンクに配慮しながら、主題に優先順を付けて提供するという必須の作業をできるようにします。
- タスクの提案、メディア検索、コンテンツの翻訳など影響力の大きな製品機能を基盤として構築。規模が小さな言語版のウィキペディアについて設立から草創期の補佐(オンボーディング)と開発に加え、投稿の新しい選択肢を促します。
- ウィキメディアの主催者であり、ウィキ・プロジェクト群やキャンペーン類などの共同作業を通じて、コンテンツの共通目標の達成に向けて貢献者を募集し、研修と支援を実施するところを支えます。
- 典拠資料への障壁を取り除くため、ウィキペディア図書館を通じて最も関連性の高い出版社と関係を構築します。
- 差し戻し率、引用や画像のあるなしなど、コミュニティが優先するコンテンツと品質の向上を測定して、私たちの介入が重要な知識にプラスの影響を与えると確認します。
2.5 政策提唱:私たちは無性の知識を促進するインターネット政策を提唱
私たちは、安全で包摂的な貢献のため法制・規制環境をより好ましいものにするよう努めます。これには政策立案者とそれに影響を与える(報道媒体や学術界や市民社会団体など)利害関係者に対し、ウィキメディアのモデルがどのように機能し、プロジェクトがどのように社会に貢献しているか啓発が含まれます。
具体な目標は以下を含みます:
- 私たちの利益を推進するため、(私たちに対する)認識と信頼を一般の人々や政策関係者、企業の間で構築して私たちの関心事を前に進めます。
- 規制がウィキペディアにどのような損害あるいは保護を寄せるか、将来の法案提出または施行前にガイダンスを提供して政策関係者が理解したか確認すること
- それぞれの地域や専門分野で公共政策の提唱を主導するボランティアや提携団体を補助
運動の強化
3.1 運動を結ぶ:地域を超えつながりと帰属意識を育む
運動への参加には喜びがあり、その喜びはつながりを感じると、現実化します。私たちはさらにシームレスで喜びに満ちた協働体験を創造しようと、こうしたつながりの場を世界規模で、また地域を越えて育み、促進していきます。
具体な目標は以下を含みます:
- 共同制作空間で地域内のつながりの場としてアフリカ・ブラザ(Afrika Baraza)、ウィキコーズリー(WikiCauserie)、CEEキャッチアップ(CEE Catch Up)、南アジア公開コミュニティ・コール(South Asia Open Community Call)、MENAコネクト(MENA Connect)その他などを支えます。
- ディフ(Diff)などの運動空間を主催して、Meta Wikiにおける存在感を強化することと、財団ニュースレター(Foundation Bulletin)を介して1ヵ所で財団の活動を簡単に追跡できるようにします。
- ウィキマニア、ウィキメディアのハッカソン、ローカルおよびテーマ別のカンファレンスなど、イベント類で協働と共同創造を促進します。
- ウィキセレブレートや年間ウィキメディアン賞(WikiCelebrate、Wikimedian of the year)などを介して、あらゆる貢献が大切だと伝えましょう。
- さまざまなウィキペディアで25周年祝いを迎え – インターネット上の信頼できる情報の基盤としてウィキペディアを祝う貴重な機会です。グローバルな広報キャンペーンを続けて、何十億ものインターネットユーザーにとってウィキペディアが目立ち、不可欠な存在となるようにしましょう。
この作業を貫いて、拡張権限を預かる利用者を支援することに特に注力するべきです。
3.2 助成金交付と資源配分
ウィキメディア提携団体、コンテンツのキャンペーン、技術系の貢献者、パートナー組織、協働の構造は私たちの運動にとってなくてはならない構造の層序です。
具体な目標は以下を含みます:
- 助成金の管理、効果報告、参加型意思決定プロセスの改善と合理化を続けて、財団の権利擁護や全性、技術的アプローチに沿った複数年戦略をより多くの組織が策定できるようにします(詳細な助成金に関する情報はこちらをご参照ください)。
- 複数地域を越えて連携し、戦略的パートナー関係を支えてコンテンツ格差を縮め、組織の能力強化、追加の資源確保を目指します。
- ハブにおいて実験を支援するなど、運動組織のエコシステムを進化させます。
- グローバルな資源配分パイロット事業(Global Resource Distribution Pilot)などの取り組みを通じて、運動戦略の原則である補完性と自己管理に沿った資源配分を巡って、分散型の意思決定の実験を続けます。
3.3 組織統治と意思決定
明確な責任と正しい時期の意思決定能力によって、運動全体にわたる効果的な集団行動を可能にします。
具体な目標は以下を含みます:
- 運動組織とグローバル資源配分パイロット事業において、主要な関係者との連携を継続すること、運動組織にむけた資金配分に関して主要な質問に回答し、翌会計年度(2026-2027会計年度)に実施するべき変更を検討すること。
- 主要な組織統治委員会として、財団理事会、提携団体委員会、選挙管理委員会を補佐すること。
リンク類と情報源
- ボランティアを守る
- ユニバーサル行動規範調整委員会
- ボランティアを対象とした健全な精神の資料センター(Mental Health Resource Center)
- 臨時アカウントによって個人情報保護を手厚く
- 私たちのプロジェクトを支援
- 運動の強化