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ユニバーサル行動規範/施行ガイドライン/投票/報告

From Meta, a Wikimedia project coordination wiki
This page is a translated version of the page Universal Code of Conduct/Enforcement guidelines/Voting/Report and the translation is 100% complete.
ユニバーサル行動規範

ユニバーサル行動規範Universal Code of Conduct(UCoC)施行ガイドライン批准投票でのコメントについて報告します

はじめに

2022年初頭にユニバーサル行動規範 (UCoC) 施行ガイドライン草案が完成した後、ウィキメディアン・コミュニティによって投票が行われました。投票に参加したコミュニティーメンバーは合計2,283人でした。このうち、1,338人(58.6%)がガイドラインの内容をそのまま支持し、945人(41.4%)が支持しませんでした。137のコミュニティーから票を投じ、上位9つのコミュニティーは以下の通りです。英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、ポーランド語、スペイン語、中国語、日本語、イタリア語、そしてメタウィキです。See the results page.

投票者全員、草案の内容についてコメントすることができました。657名がコメントを残しました。コメントの約77%は英語で書かれています。投票者は27の言語でコメントを書き、最も多いのは英語(508)、ドイツ語(34)、日本語(28)、フランス語(25)、ロシア語(12)でした。Wikimedia project by Voter turnout can be here.

この分析は、これらコメントの主題を特定し、コミュニティーからのコメントの主な焦点となっているのは草案のどこなのかを勘案しました。 このコメントの分析は、コミュニティーの声と意見を増やすためです。すでにコミュニティ事案委員会がスタッフに対して、改善の検討を続けるよう指示しており、したがって改定委員会が完成するUCoC施行ガイドラインの改定の土台となります。

分析方法

ボランティアの審査員が不正な投票がないかどうかを確認した後、UCoCプロジェクトチームがフィードバックを英語に翻訳し、カテゴリに分類しました。

翻訳作業は、運動戦略とガバナンスチームが主導し、他の多言語対応可能な財団スタッフも支援しました。また、トラスト&セイフティチームが、コメントをテーマ別に分類し、その結果を分析し、報告書を作成しました。方針チームはコメントをトピックに分類し、結果を分析し、作成した報告書をウィキメディア財団理事会、改訂起草委員会と共有し、メタウィキで公開しました。

フィードバックの分類

要約

コメントの第一次分析の結果、9つのテーマが浮上しました。 コメントの内訳とその代表的な数値は、付録の図1に詳細を示しました。また、1つのコメントが複数のテーマに触れている場合、複数のカテゴリに分類されることがあります。多様な意見を整理するために、最初の3つのカテゴリをさらに細分化する必要があることが明らかになりました。更なる分類や小分類が必要なカテゴリについては、作成された小分類をさらに説明するための図表を追加しています。 トピックとサブトピックの詳細と引用文は、以下のとおりです。[1]

  1. 引用文は、わかりやすいようにスペル編集して短縮しています。

一般的なフィードバック

これは、UCoCや施行ガイドラインに直接関係のない一般的なフィードバック(肯定的、否定的)、およびウィキメディア財団に向けられたコメントすべてをカバーする、より大きなカテゴリです。以下のサブカテゴリに分類されました。

  • 全般的な肯定的フィードバック
    • 「...私は、ウィキメディアをより快適で安全な空間にするためのあらゆる手段に賛成します。」
  • 全般的な否定的フィードバック
    • 「財団は、コミュニティーに対する敬意を著しく欠き、コミュニティーに対する理解を著しく欠き、コミュニティの同意を形成することなく規範を押し通そうとした……ガイドラインを修正したところで私の票は変わらない…… 規範そのものが失敗作だから…… 最初からやり直しが必須であり、コミュニティによって一新させ、それに同意形成をするという筋を通さなければならない。」

付録の図2は、この大分類内の分布を反映したものです。

官僚主義やトップダウンの手続きは、不必要な負担や障壁を生み出す可能性があります。

このカテゴリのコメントには様々なテーマがあり、さらにグループ分けして、様々な意見や懸念があります。以下に、そのいくつかを引用します。

  • 施行ガイドラインがトップダウンすぎる、あるいは権威主義的である
    • 「このようなトップダウンによるプロジェクトの乗っ取りには反対です...。」
  • 施行ガイドラインは官僚的
    • 「ユニバーサル行動規範は全体として複雑すぎるし、官僚主義を生み出し、コミュニティーから労力を奪うことになる...」
  • トレーニング義務は納得できない
    • 「トレーニングを期待するのは不合理。ウィキメディアのプロジェクトでは、*誰でも*どのような*権限レベルでもトレーニングが期待されることはない......。」
  • アファメーションは不要な押し付け
    • 「管理者が忠誠の誓いのようなものに同意することを求められることには、とりわけ反対である」
  • U4C 委員会
    • 「現在、U4Cが審理する案件のハードルは非常に高く、今後何年にもわたって排除され、不健全なコミュニティーという現状を維持することになりそうです...」

付録の図3は、この大分類内の分布を反映したものです。

施行ガイドラインが逆効果になり、不健全な力の不均衡を生む可能性がある。

このカテゴリのコメントは、施行ガイドラインの潜在的な恣意性と、それが施行者の間で権力の乱用を引き起こし、最終的にコミュニティーに損害を与える可能性があると指摘しています。このカテゴリのコメントは、さらに以下のトピックに分類されました。

  • 裁定委員会
    • 「ユニバーサル行動規範の一般的な考え方は良いと思いますが、利用者の中にはユニバーサル行動規範を加害者を守るものに曲解してしまう人がいるのではないかと心配です。」
  • 権限の濫用
    • 「WMFをはじめとする、貢献せずにプロジェクトを支配しようとする団体の権力掌握に過ぎない。」
  • 多様性あるエコシステムに害をおよぼす
    • 「ライトユーザーとヘビーユーザーの間にさらなる格差が生じ、ウィキペディアンの参加者がさらに減少することを懸念しています。」

付録の図4は、この大分類内の分布を反映したものです。

施行ガイドラインおよび/またはUCoCの支援

このカテゴリに入れられたコメントは、UCoCと施行ガイドラインの必要性と影響について、概して肯定的かつ楽観的なものでした。例を挙げます。

  • 「この運動が、すべてのプロジェクト、すべての言語版で、普遍的に実践される行動規範を基準としていることは、本当にうれしいことです。私が最も気に入っているのは、以下の部分です。善意と共感の実践、権限・特権・影響力の濫用への反対...。」
  • 「ユニバーサル行動規範の施行には賛成です。ユニバーサル行動規範は、コミュニティーメンバーが悪い行動の状況を把握することを目的としており、あらゆる手段で支援すべきものであり、このガイドラインは予防の強い味方となるでしょう。」

UCoCおよび/または施行ガイドラインが、ウィキメディア運動の価値(プライバシー、言論の自由、ボランティア精神など)を支持していない。

このトピックに関するコメントでは、UCoCと施行ガイドラインが、プライバシーや表現の自由など、コミュニティーメンバーの権利をどのように抑圧しうるかについて語られています。また、この方針が政治的に傾いていることや、UCoCと施行ガイドラインが運動の価値観とずれていることも強調されています。そのようなコメントの例は以下の通りです。

  • 「内容については、特に社会的な問題について、中立性を保つことにもっと重点を置くべきでしょう。ウィキペディアの内容は、政治・経済・社会のどの側面にも傾くべきではありません...。」
  • 「UCoCは、表現の自由という基本的かつ普遍的な権利に十分な敬意を払っておらず、現在の形では、その権利を耐え難いほど侵害している。」

UCoCや施行ガイドラインがグローバルな多様性を欠いている。

このカテゴリでは、多様性や多様な地理的/文化的背景の欠如、多言語への翻訳の欠如、また施行ガイドラインの言葉や文章の選択における多様性が強調されたコメントがありました。ここでは、以下のようなコメントがありました。

  • 「コミュニティーにはそれぞれ文化や考え方があり、全員に同じルールを施行することは不公平であり、少数派の文化やグループを抑圧する結果になります。」
  • 「...それは、知的財産権などの現地の法律に対する専門家の理解不足、コミュニティーメンバー間のポピュリズムや影響力行使につながったことなどです。」
  • 「UCoCは草案では...西洋の視点を念頭に置いて書かれており、施行に責任を持つWikiと、これを施行するよう求められているコミュニティーとの間で、和解しがたい文化的衝突が起こりそうです。UC4が、その歴史、文化環境、言語を理解しない、あるいはよく知らないプロジェクトに関する問題について下さなければならない判断に疑問を持たざるを得ません...」

UCoCは必要ない/地域との関連性が低い

これらの意見は、プロジェクトが自ら規制し、問題を解決するための自給自足であり、UCoCとそれに付随する施行ガイドラインがいかに不要であり、必要でないかを強調するものです。例えば、以下の通りです。

  • 「私は、主要な、確立された、機能的なウィキペディアの言語版(英語、ドイツ語、フランス語など)に強制的なUCoCを導入することを、基本的な理由により拒否します。そのような規約はこれらのプロジェクトにすでに存在しており、外部から押し付けることはできません。フォークを通じてグローバルなコミュニティーが分裂し弱体化する非常に深刻な危険だと思います。」
  • 「それぞれのコミュニティーは、その設立の原則を決めるのに、主権者でなければなりません。」
  • 「追加規制の必要性は感じられない。私たちのコミュニティーは、対立する状況にうまく対処していると思うし、これ以上規制を強化する必要性があるとは思えない。」

UCoCのテキストは差別的である

このカテゴリのコメントは、UCoCのセクション3.1にある方針が「人種や民族を人々の間の意味のある区別として支持しない」とするテキストと、それがいかに人種主義や差別を可能にするかを強調したものです。例としては以下のようなものがあります。

  • 「... この方針には賛同しかねます。人種や民族に基づく差別を経験する人はいますし、それは辛いことです。この考え方は、問題を無視し、世界の有色人種の経験を最小化するものです。」
  • 「このままのUCoCは、攻撃的で差別的であり、強制力を持たず、利害関係者の関与が充分ではありません。」
  • 「...人種と民族は意味のある区別であり、財団によって促される公平なアプローチの基礎を形成しています。」

聞かれる権利(right to be heard)

結論が出る前に、訴えられた側が自分の言い分を主張したり、説明したりする権利「聞かれる権利(right to be heard)」ポリシーの必要性について、意見が集中しました。

  • 「『訴えられたことを知る権利』を盛り込むことは、絶対に必要なことです。さらに重要なのは、『訴えられた側』の意見が聞かれる権利です。この方向で繰り返しコメントされてきたにもかかわらず、公正な手続きのためのこれらの基本的な要件は施行ガイドラインに含まれていません。従って、ガイドラインは公正な手続きを保証するのに適していません。」

まとめ

このレポートは、コミュニティメンバーが収集したデータを確認するためにアクセスできるようになりました。投票コメントから個人を特定できる情報を削除しました。投票コメントデータをこちらで確認

データの有用性には限界があります。参加者は658名、27カ国語でコメントを残しています。コメントの77%は英語で書かれています。コミュニティの規模を考えると、これはすべての意見を代表するには少なすぎる数字です。これを軽減するため、UCoCプロジェクトチームは、次回のコミュニティーでの対話の際に、より多くのコミュニティー参加者の参加を促すアウトリーチを重視します。

このような制限にもかかわらず、異なる規模のウィキメディアのコミュニティーから、異なるタイプのガバナンス構造を持つ投票者が、規範と施行の問題について多様な視点を提供するコメントを残しました。コメントは匿名なので、投票者は報復の心配なく自由に自分の意見を述べることができました。

UCoCの投票結果、特定されたテーマ、フィードバックに加え、今後の会話で収集されたデータのこの分析は、現行のガイドラインを改善するための改訂委員会へのガイダンスとなります。

付録

注:モバイル用レスポンシブ表示では、チャートが正しく表示されない場合があります。
図1
全投票のフィードバックカテゴリの円グラフ
差別的な文章: 19 (2.2%)聞かれる権利(right to be heard): 39 (4.4%)財団についてのフィードバック: 32 (3.6%)グローバルな多様性を阻害するもの: 52 (5.9%)運動の価値への反対: 50 (5.7%)権限の不健康な不均衡: 113 (12.8%)ローカルコミュニティに不必要/不適切: 127 (14.4%)EG/UCoCの支えとなっている: 172 (19.5%)官僚主義的: 151 (17.1%)一般的なフィードバック: 128 (14.5%)
  •   差別的な文章: 19 (2.2%)
  •   聞かれる権利(right to be heard): 39 (4.4%)
  •   財団についてのフィードバック: 32 (3.6%)
  •   グローバルな多様性を阻害するもの: 52 (5.9%)
  •   運動の価値への反対: 50 (5.7%)
  •   権限の不健康な不均衡: 113 (12.8%)
  •   ローカルコミュニティに不必要/不適切: 127 (14.4%)
  •   EG/UCoCの支えとなっている: 172 (19.5%)
  •   官僚主義的: 151 (17.1%)
  •   一般的なフィードバック: 128 (14.5%)
図2
一般的なフィードバックに関連するサブカテゴリの円グラフ
肯定的フィードバック: 4 (3.2%)その他(言語でのフィードバック): 18 (14.4%)対話でのアタック: 2 (1.6%)批准プロセス: 20 (16.0%)UCoC フェーズ 1: 44 (35.2%)その他(心理操作、丁寧に見えるが視点の押しつけ等): 37 (29.6%)
  •   肯定的フィードバック: 4 (3.2%)
  •   その他(言語でのフィードバック): 18 (14.4%)
  •   対話でのアタック: 2 (1.6%)
  •   批准プロセス: 20 (16.0%)
  •   UCoC フェーズ 1: 44 (35.2%)
  •   その他(心理操作、丁寧に見えるが視点の押しつけ等): 37 (29.6%)
図3
「官僚主義やトップダウンのプロセスは、不必要な負担や障壁を生み出す可能性がある」に関するサブカテゴリの円グラフ
複雑な外部からの介入: 19 (9.0%)U4C: 20 (9.5%)あまりにもトップダウン: 33 (15.6%)官僚主義的プロセス: 35 (16.6%)UCoC 研修: 60 (28.4%)UCoCのアファメーション: 44 (20.9%)
  •   複雑な外部からの介入: 19 (9.0%)
  •   U4C: 20 (9.5%)
  •   あまりにもトップダウン: 33 (15.6%)
  •   官僚主義的プロセス: 35 (16.6%)
  •   UCoC 研修: 60 (28.4%)
  •   UCoCのアファメーション: 44 (20.9%)
図4
「施行ガイドラインは、逆に不健全なパワーバランスを生み出す可能性がある」に関連するサブカテゴリの円グラフ
RU.WP特有: 2 (1.6%)JA.WP特有: 10 (8.0%)恣意性(言語が目的にそぐわない): 31 (24.8%)コミュニティーの多様性への悪影響: 37 (29.6%)権限濫用への懸念: 45 (36.0%)
  •   RU.WP特有: 2 (1.6%)
  •   JA.WP特有: 10 (8.0%)
  •   恣意性(言語が目的にそぐわない): 31 (24.8%)
  •   コミュニティーの多様性への悪影響: 37 (29.6%)
  •   権限濫用への懸念: 45 (36.0%)