運動憲章/用語集
これら補足文書の提供は運動憲章起草委員会(略号MCDC)が情報提供の目的で担当し、ウィキメディア運動憲章の内容に関する詳細な背景情報を提供します。これらは憲章の一部ではない点、そのため批准投票の対象には含まないとはいえ、MCDC によって調査および協議プロセスの過程で作成されたものです。これには、以下のように複数の種類の文書が含まれます。
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配慮の責任
「配慮の責任」はウィキメディア運動の組織と、その組織がサービスを提供するコミュニティとの関係を公式に定めて説明します。これには以下が含まれますが、これらに限定されません。すなわちウィキメディア運動のコミュニティ参加者に包括的で多様性のある作業環境を提供すること、ウィキメディアのオンラインのプロジェクト群においてウィキメディア運動の諸活動を支援すること、それらコミュニティと協力して無償の知識への取り組みを促進する作業を行うこと、それらコミュニティと一般の人々の間の仲介役を務めることなど。「care responsibility」
コミュニティ
個人の特定のグループであり、ウィキメディアのプロジェクト類で活動もしくはまざまな方法でサポートする存在(権利擁護、イベントの主催や調整など)。これらの個人を一般に、ウィキメディアン(Wikimedian)と呼びます。「Community」
コンテンツ
ウィキメディアのアカウント登録済みまたは未登録の利用者がプロジェクト群のあらゆる側面において、ユーザー・インターフェイスを使用して変更を加えた資料の総体を指し、それぞれ追加や削除、変更や改訂、編集や削除またはその他の方法で改変されたもの。「content」
公平性
公平性とは、それぞれの当事者の異なる資質を正当に認め、評価しようとする試みです。これには当事者全員の能力に影響を与え、同じ種類の成果達成を妨げる状況や障壁を認識することが含まれます。公平性は、すべての人を平等に扱っても達成されるものではありません。「Equity」
無償の知識
無償の知識、オープンな知識、公開で無償の知識とは、無償で利用できライセンスがオープンに設定された知識であり、金銭や社会または技術面の制限を受けず使用し再利用し再配布できるものです。「Free knowledge」
資金調達
資金調達とは、寄付金を募り獲得する活動です。「資金調達」という用語は、この運動憲章ではこの用語を使い、独立した組織や個人の寄付者から金銭的な寄付を募るプロセスを表します。多くの場合、この用語は第三者から受ける助成金も特定の目的を支援する資金として含まれます。「Fundraising」
資金調達のその他の方法は、収益獲得をご参照ください。
包摂性
環境、方針、構造を変更して多様性が生まれる条件を創出し、個人とグループの両方による(年齢や社会階層、民族や宗教、性別や性的指向を含み、これらに限定されない)排除と差別を減らす行為を指す。 「Inclusivity」
収益獲得
収益獲得とは資金を獲得するプロセスで、ウィキメディア運動の1つ以上の側面を支援しています。その例は次のとおりです。「Revenue generation」
- 資金調達
- この区分には第三者が提供する助成金(用途指定なしまたは特定の目的を支えるもの)、大口寄付金または資金調達のイベントを含む。
- 提携団体の会費
収益獲得の関連で言う「現物寄付」とは、組織または個人がサービスおよび/または実質的な物品を無償で提供すること、または請求金額を割り引くこと。 実例を以下に示します。「membership fees for affiliates」。
- 会議室や集会室、事務所空間。
- インターネット接続。
- 記録資料への無償のアクセス
リソース
リソース(情報源)とは、個人または組織の効果的な機能に役立つ金銭や資材、人材や知識またはその他の資源の蓄積または供給源のこと。「Resources」
ウィキメディア運動でリソースというと、以下のものを含みます。
- 収益獲得によって手当てした金銭的な資産。
- 人々(その時間や努力や能力、運動を推進する非常に多くボランティアの皆さん、ボランティアを支える少数の有給職員を含む)。
- ウィキメディア運動とそのプロジェクト群および活動は、無償かつオープンな知識の源であり世界に提供する存在であると言う評価。
- ウィキメディアのボランティアが開発し管理するプロジェクトの内容。
- 物理的なストレージ(保存庫)であり、ウィキメディアのプロジェクト群のためソフトウェアとコンテンツを格納する空間。
- 教育および情報の文書であり、プロジェクトその他の運動の活動を支えサポートするもの。
利害関係者
ボランティアであるかどうかを問わず、個人やグループとして特定の組織に人的、財政的、もしくはその他の資本をそれまでに投じており、組織の目標実現に影響を与えるか、またはそれらの目標が実現すると影響を受ける対象。「Stakeholders」
この憲章における「利害関係者」とは、個人またはグループで、ウィキメディア運動の理想の実現に利害関係がある対象を指します。より正確に説明するならこの用語の意味する範囲は、オンラインとオフライン両方のコミュニティや組織化されたグループ類として提携団体やウィキメディア財団およびパートナー組織、さらには、より広範なオンラインの情報エコシステムの参加者などが当てはまります。「stakeholders」
補完性
補完性という原則では、意思決定は可能な限り最下位レベルで行うと決めて、他の上位レベルの利害関係者の介入は必要な場合に限定しています[1]。「Subsidiarity」
ウィキメディア運動
ここで言う「ウィキメディア運動」とは、個人やグループ、組織などでウィキメディアのウェブサイトやプロジェクトを支援して参加する主体全てを指します。この運動の方針や原則、価値観の範囲内で活動する人なら全て対象です[2]。
ウィキメディアのプロジェクト群
ウィキメディアには、多数の知識のプロジェクトがあります(ウィキペディア、ウィクショナリー、ウィキバーシティなど)。ローカルまたは個別のプロジェクトは、第一に多言語のいずれかの言語版です( ウィキペディア日本語版、ウィクショナリートルコ語版など)。プロジェクト群の一部は(ウィキデータ、ウィキメディア・コモンズなど)特定の言語版の代わりに複数言語がまとめてあります(クロスランゲージ版)。また、メタウィキやメディアウィキなどは、ウィキとしてウィキメディアのコミュニティ全般のインフラとして機能します。
注記
- ↑ あわせて実権配分と自己管理の定義も参照してください。
- ↑ Della Porta & Diani(2006年、デラ・ポルタ&ディアーニ) (外部リンク:pdf形式)の考察によると、社会運動には共通の分類が次の3つあります。(a) 複数の個人とグループと/または組織が非公式に結んだ交流のネットワークのこと、(b) 政治または文化の対立/変化の当事者であること、(c) 共通の存在意義に基づいて存在する集団であること。ここで言う運動では、異なる運動が互いに重なり合う傾向が見られ、明確な境界はありません。