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通報を検証: 背景の調査
あなたが確認した事実には、通常、何が起こったのか順を追って問題をたどり理解するのに役立つ文脈があります。こうして背景が事件を評価する重要な要素になります。もしそれを飛ばすと現在の問題の解決に欠かせない経緯や事実を見落としてしまう危険があります。
背景の調査は以下の経路に従って、関係者を調査対象にしなければいけません。
- 嫌がらせ行為を受けた人:
- 緊急時対応チームは以前にこの人(当事者、通報者あるいは嫌がらせをした加害者)に対応したことがありますか? 以前のやりとりでこの人から受けた通報や意見は信用できましたか?
- この人は、これまでにも嫌がらせをされたことがありますか? 加害者には現在、嫌疑をかけられている人も、それ以外の人も含みます。(該当する場合、今回の嫌がらせ行為には、過去の加害者のなりすましが関係あるのかもしれません。)
- この人は、コミュニティでどんな経歴がありますか? たとえば、これまでにジェンダー関連のウィキプロジェクトに参加したことがわかると、現在の事案がジェンダーに基づく嫌がらせ行為だと判別できるかもしれません。
- 通報者 (嫌がらせ行為を受けた人と異なる場合):
- チームの誰かが以前、この人に対応したことはありませんか? その人たちは以前のやりとりで信頼できる報告や意見を提出しましたか?
- 通報者は嫌がらせ行為の当事者もしくは加害者のどちらかと関係がありますか? つまり、不純な動機で通報した可能性はありませんか? (争いに関わった友人を後押しするために状況を誇張して誰かを悪く見せかけるなど。)
- この人物の経歴を調べると、争いのある状況にどう関わったか何か手がかりがありましたか? おだやかな人、あるいは過敏に反応する人という評判があるかもしれません。どちらが当てはまるにしても、あなたが通報のしかたをどう解釈するか、多少は影響を受けます。
- 加害者と疑われた人:
- あなたのチームの人たちは以前、この人に対応したことがありましたか? 嫌がらせ行為の加害者として報告された経歴がある人ですか? 本人が過去に嫌がらせをされていませんか?
- この人はこれまでに通報者か当事者のどちらかともめごとを起こしていますか? 明らかに長期にわたる対立があり、今回の通報はその続きという可能性があります。
- この人のコミュニティにおける経歴はどうですか? そして、この通報とその経歴には何か関連がありますか? 特定のトピックの編集でブロックされたり制裁されたりした経歴がある場合も、あるいは通報された行為をしたことがほぼ皆無の場合も考えられます。あなたが扱っているケースにかかわりがあるかどうか、関連する掲示板のアーカイブを検索したり、利用者のブロックログとトークページを見たりして、その履歴を判断の材料に加えてください。
しかしながら、背景の調査は関係者をほんの2、3人だけ対象にしたのでは十分ではありません。当事者と他の編集者やグループの間にどんな関係があったか、(もし存在するなら) 過去のもめごとを引き金に嫌がらせをした可能性も考慮に入れます。
- 今回の関係者が組織や団体に所属しているか、その組織・団体がもめごとに関与した可能性があるかどうか
- 関係者が今回の通報によく似た活動にオフ・ウィキで参加しているかどうか (たとえば他人の個人情報をさらしたがるフォーラムに参加している人か、あるいは性別の自称や政治的な見解を公開している人か)
- 幅広い利用者グループを巻き込んだ、テーマに関する紛争が長引いていて、今回の嫌がらせ行為の通報はその反映ではないか。たとえばホメオパシー関連の編集合戦など。
背景調査の結果は正式な結論ではない: 事件の前後関係と正当化や弁解とは同義ではありません。背景と文脈の調査は状況の把握に役立ちますし、特定の状況で嫌がらせ行為が発生した背景を説明できるにしても有効な通報を無効にはできず、ましてや嫌がらせ行為があったならそれを正当化する理由にはなりません。状況の前後関係にかかわらず、関係者は自分の言動全てに責任があります。長期にわたって質の高い貢献をしたか、客観的に立場が「正しい」か、あるいは過去に嫌がらせをされたかどうか、どれも悪い行為を許す根拠にはなりません。同様に、悪い行為の履歴があったから「自動的に」加害者だと決めつけることもできないのです。したがって通報が有効かどうかは関係者ではなく、通報された事実に基づいて分析してください。