キャンペーン/人権ウィキの今後
背景
ウィキメディア財団のキャンペーン・チームは2023年12月13日と2024年4月、人権のためのウィキ(※)・キャンペーンの今後の構造をコミュニティと協議したいと発表しました(公式ブログDiff の投稿 と 事務局時間の打ち合わせで実施、※=WikiForHumanRights )。このたびのキャンペーン再編成として意図するところは、コミュニティの成長と、今後はキャンペーン主導の担い手としてどのようなサポートが求められるか、ウィキメディア財団がよりよく理解する上で役立つと期待されます。
その発表以来、私たちはコミュニティと非公式に話し合いを始め、LATAM の気候の正義ワーキング・グループとの協議も交えながら、包摂性を備えたプロセスに再構築するにはどんなニーズがあり優先事項は何か、だんだんわかってきました。この更新は、あの発表のフォローアップとして取り組んでおり、この決定の背後にある理論的根拠に光を当てて、人権のためのウィキの旗印のもとに集まって積極的に組織化しようとするコミュニティにとって、次のステップとは何か明らかにします。
移行の理由は?
従来、ウィキメディア財団は人権のためのウィキ (WikiForHumanRights)を介してキャンペーンを調整するコミュニティを支えており、焦点は気候変動と持続可能な開発でした。当初のサポートは集約型であり、キャンペーンの設計からアウトリーチ(普及活動)、学習まで,財団が直接、支援していました。
これまでの4年にわたり、参加コミュニティから私たちが得た学びとは、参加と波及効果は地域調整のプロセスにより深まるということです。これらの観察を基盤として、2023年には地域コーディネーター9名を支援し、それぞれの担当地域でコミュニティの関与を促進しました。それぞれは以下を含む役割を担っていました。
- 他言語とのコミュニケーションの補佐、ポッドキャストを使ったストーリーテリング、動画の活動プロモーション、ウェブラジオ経由のトークショー配信などを通じて、コミュニティ間の意思疎通を推進すること
- ウィキメディアのさまざまなコミュニティでボランティアを動員し、キャンペーン参加を促してエネルギーを高めること
- 助成金申請の補佐、助成金審査過程の支援を含む
- 地域の一覧作り – アフリカ地域の新規立ち上げにおいてウィキペディア、ウィクショナリー、ウィキクオート、ウィキデータに載せる主題を作成
- 技能開発に関して、イベント登録から一覧作成用ツールの運用を補佐すること
- キャンペーンを通じてコミュニティを活性化、例えば新たな協働作業に踏み出せるようにコミュニティをサポートすること。
- 地域のミーティングと事務局時間を主催
このキャンペーンに取り組むコミュニティは創造性と指導力を発揮し、キャンペーンを先導して次のレベルに引き上げる能力を示しています。この期間に地域コーディネーターと提携団体がウィキメディア運動とあいまって人権のためのウィキ・キャンペーンを変革した経緯を見つめてきました。皆さんの活動を通じて、フランス語圏アフリカ、ポルトガル語圏、北アフリカで参加が拡大しました。コミュニティ主導の改革にはリビアのウィキメディア・コミュニティの新設、人権のためのウィキのWikiForHumanRights ポッドキャストの開始、またスペイン語圏のラテンアメリカ・南アメリカ地域(LATAM) ではコミュニティの共同作業が挙げられ、 またコミュニティが協働で気候の正義とウィキメディア・プロジェクト類のワーキング・グループを築いてきました。
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人権のためのウィキ2024、ルワンダ
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WikiForHumanRights UAE 3
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ワークショップの参加者たち、人権のためのウィキ2022、ガーナ
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#人権のためのウィキ編集大会を主催したブラジル利用者グループと提携先のミッション・ピース(Missão Paz)
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参加した学生たち、人権のためのウィキ、ニューメキシコ州
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WikiforhumanRights 2023 in Goma (DRC)
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複数の市民社会組織代表とウィキメディア・コミュニティ利用者グループが集うオフ会、2024年人権のためのウィキ、ナイロビ
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お揃いのユニフォームを着た人権のためのウィキ新規参加者とWAP登録者
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人権のためのウィキ2023の9月参加者
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人権のためのウィキで研修を受ける南スーダンの受講者
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人権のためのウィキ2023年、ウガンダの編集大会
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人権のためのウィキ2021、ナイジェリアで実施
中でも最も重視する点は、地域単位の主催者や提携団体、各地域の主催者や参加したコミュニティの皆さんが参加によって技能を伸ばし、このキャンペーンの創出から先導、実施まで グローバルなレベルで取り組めるようにすること。コミュニティ主導のこれらの発想により、ウィキメディア財団が占める役割も以下の各点に集中してきました。
- 国際連合の人権高等弁務官事務所(UN OHCHR)と提携して毎年恒例のキャンペーンを立ち上げること
- キャンペーンのテーマを定義して課題となるグローバルな作業リストを組み上げること
- グローバルな意思疎通を目指してツールキット開発やブランド確立を含めて支えること
- 地域間交流としてプロジェクト・イベント用のグローバルなダッシュボード開発やキャンペーンの波及効果を測るグローバルな指標の比較検討をはじめとして、調整に努めること
- 財団の新機能について、技術大使経由で製品・技術面の支援を提供すること
- グローバルな意思疎通を補佐するため、一例としてメタウィキにキャンペーン用ページを作ったり、リモート会議の主催などを手がけます。
財団という組織の形に根差し、私たちはウィキメディア運動の進展を大切にしています。そこで人間のためのウィキを介するキャンペーンでも、指導者養成の重視に意義を見出しています。同キャンペーンを次の次元に高めるには何が必要か、コミュニティのニーズに関心を持っています。
また財団は進行中のキャンペーンの作業を同時進行で以下の面で伴走しています。
- ウィキメディア運動を学ぼうと促し、ツールの採用やキャンペーンの最善手法を補佐すること
- パートナー関係を活性化して地域連携型のキャンペーンを支えること
- 助成金支給基準に適したキャンペーン活動に資金を供与
- 2024会計年度のウィキメディア財団には他にも実施予定があり、その分野の話題と範囲を定義する上で、キャンペーン主催者から特定の図書館フェローにサービスを求めるという実験です(Library Fellow)。
私たちの支援が必要な分野は他にもあるかもしれないし、ウィキメディア運動の一部が擁護を望む分野もある可能性を認めています。コミュニティの皆さんと一緒に、これら分野は何が適切か、どのように取り掛かるとよいか学ぼうと力を尽くしているところです。
ぜひ行動を
相談プロセスを設計しており、アンケート、地域単位の電話会議、トークページの議論、学びのセッションで構成しています。これらの活動にぜひご参加ください。